ご相談内容
ご依頼者は宇都宮市の高齢者Aさんでした。
- 依 頼 人:80代男性A(がんで闘病中)
- 相 続 人:長男B、長女C
現在Aさんは独り暮らしで、長女のCさんが通ってお父様の面倒を見ておられました。そこでAさんのご希望として、全財産をCさんに遺したいということで当センターにご依頼がありました。
実はAさんは最近まで長男のBさん夫婦と一緒に暮らしていましたが、がんを患ってAさんが苦しんでいるというのに、BさんはAさんを捨ててどこかに引っ越してしまったということでした。もうBさんは一人で生活ができる状態ではなく、見かねた長女のCさんが、毎日お父様の介護に通うようになったという経緯だったそうです。
Aさんは、毎日病気で苦しんでいる自分を一人放って、どこかへ行ってしまったBさんに対しての怒りもあり、できれば一切財産を渡したくないというご意思でした。
解決当センターが行ったこと
まずこの事情をお伺いして、なぜ全財産をCさんに遺すのかという理由及びBさんには遺留分を放棄してほしいと付言事項にきちんと書いておくことをご提案差し上げました。
その上で、今回のケースではCさんと共に当センターの行政書士にて遺言執行者をお引き受けして、かつ遺言書の内容に相続人廃除の項目を追加することをご提案しました。
相続人廃除とは、相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたりしたとき、またはその他の著しい非行が相続人にあったときに、被相続人が家庭裁判所に請求して虐待などした相続人の地位を奪うことをいいます。この相続人の廃除は遺言書で記載することができます。
今回のケースでは重病のAさんを一人放置して引っ越したBさんの行為は高齢者虐待に該当する可能性があることから、万一BさんはCさんに対して遺留分の請求を行った際に限り、当センターの行政書士が家庭裁判所に相続人廃除の申立ができるようにしました。
これにより、全財産を受け取るCさんを二重に守ることができます。一つ目のハードルは、Aさんの付言事項です。Bさんに対して「自分の行動を思い返して相続分は一切諦めてくれ」と本人の言葉で書いておけば、BさんはCさんに遺留分を請求しづらくなります。
更に第二のハードルとして、遺留分の請求をしたら遺言執行者から相続人廃除の申立がなされ、相続人としての権利を失う可能性があるとなれば、そもそも遺留分請求を諦めてくれる可能性が高くなります。
このような内容を盛り込んで、Aさんのために遺言公正証書の作成をさせていただきました。
コメント
遺言書を作成するときに最も重要なことは、なぜそのような内容にしたのか、その理由をきちんと書いておくことです。これをちゃんと書いておくことで、遺言書を読んだ各相続人に理解を促すことができます。これだけでも感情的な争いをある程度予防できます。
また相続分廃除は、高齢者虐待に該当する場合には遺留分侵害額請求を防ぐためのハードルとして利用することができます。これも遺言書作成のテクニックの一つです。
当センターの行政書士はこれまで400件以上の遺言書作成をお手伝いしてきた遺言書の専門家です。お困りの方はいつでも当センターまでご相談下さい。